第49回テーマ 【 設計士が、材料サイズとコストで注意している点 】

-2023年1月30日 第577号-

現場では、いろいろな寸法を
常に注意していないと、問題が起きるので
経験値も重要となります。

まずは、道路の巾です。

トラックが大きさ、4t車が入るか、軽トラックまでか
例えば、外壁を上から下まで1枚の板ですっきり納めたくても
2分割でないと運べないとすると外壁の途中に継ぎ目がある
デザインになります。またコストも大きなトラックだと1台で
運べるものが、小さなトラックだと数台に増えることになります。

同じ材料でも、道路の巾や、長さに対する
デザインの考え方次第で、金額が変わります。

そして、現場に到着後もクレーンは使えず
手運びになる現場やマンションでは
エレベーターの奥行きサイズや
階段で上げる場合には折り返し上げられるか
例えば、キッチンのカウンタートップなど1枚で広いものに
したい時には、デザインの段階から搬入のことも考慮が必要です。

また、新築住宅なら屋根が壁から出る軒先の長さや
天井の高さの寸法決めるのも、張る板の材料サイズから
効率の良い寸法にするかで、材料も手間も増えます。

一例として、屋根の軒先長さを 910mmにすると
一般的な材料の大きさが 3 × 6 版 巾910 ×長さ1,820mmです。

材料2分割で丁度良く、軒の出を短く455mmにすると
4分割にすると張れる面積も倍になり
効率良く、材料の余りもでません。

しかし、効率だけですべての寸法を決めることはできません。

近年、マンションのベランダから子供の落下事故の報道が
続いていますが、これも基準があり床から手摺り上まで
1m10cm以上にする安全確保のルールがあります。

実際に、部屋の中から外を見たときに1m10cm以上を
コンクリートの壁だけにしてしまうと
圧迫感ありますので、格子にしたり、ガラスにしたり
壁の高さは90cmまでにしてその上に手摺をつけて
1m10cm以上確保するなどデザインは工夫されています。

その他、階段の高さと奥行きの関係
浴槽またぎの高さ、廊下の巾、キッチンの高さ
テレビボードの高さ、机の高さ
ドアハンドルの高さ、スイッチコンセントの高さ
ドラム式洗濯機の高さ、洋服の奥行き、靴箱の大きさ等
なんでもかんでも、覚えている必要はあります。

さらに、電気のスイッチなら
奥行きの寸法も覚えていないと、薄い壁にした場合
表と裏の両面に同じ位置にスイッチつけれず
高さを変えるなど、常に立体的に捉えることが必要です。

また、クロークパイプ1本つけるだけでも
ビスの必要長さも考慮して、板の厚さを選ばないと
薄い板の方が安くても、サイドからビスの先が
出ているようでは困ります。

ということでなんですが
家電製品の大きさも、常に変化しているので
私は、建築学生の頃よりカバンの中には
財布は忘れても、コンベックス(スケール)だけは
持ち歩き続きています。

もし、コンベックスがなく
ざっくりの目安で計りたい時は
両手を水平に、 横いっぱい広げた長さは
大体、身長と同じ長さです。
(ただし10cm程度の誤差はあります。)

ご参考まで