第19回テーマ 【 “蔵”に泊まる、とは? 】
2021年10月25日 第516号 掲載
先日、関西への旅で
田舎がない私ですが、蔵を宿にリノベーションした
建物に宿泊してきました。
元来、蔵とは
日本の伝統的な建築様式のひとつで
木骨、外壁を土壁として漆喰などで仕上げられている
日常では単に蔵とよばれることが多く
建物は土蔵造り・蔵造りなどといわれ
米穀、酒、繭などの倉庫や保管庫として
防火、防湿、防盗構造をもって建てられた建物です。
建物は、アート作品とは異なり
用途という定義から
つくりこまれていきます。
ですので当然、蔵は防火や防盗を考慮すれば
窓がなく、人が建物の中で居住するというより
非日常、秘密基地感覚の体験をウリにしているようです。
宿の最もおすすめする季節は夏だそうです。
カビ臭いのでは?敬遠されがちな蔵ですが
自然素材の土壁でできているため
夏はひんやりと涼しく、大空間なのに空調いらずだそうです。
わたしが宿泊したのは、10月の冬日でしたので
暖房機を使用しました。
宿からの最初の説明で
入口が3重とびらになっており
すべて閉めて、鍵を中かから掛けてしまうと
外からは簡単に開けられないので注意してくださいと言われた瞬間
昔みた映画や本などから、蔵に閉じ困られるイメージを思い出し
室内も暗く、なんだか怖くなりました。
宿のコンセプトで室内には
テレビもなく、蔵書が100冊くらいあり
気に入った本があったら、買って帰ることも
できるとのことで1冊購入となりました。
蔵の中に、ひのき風呂もあり
外の世界を遮断した気分になりたい時に
お薦めですが、わたしはやはり
旅先では、窓の外の景色が欲しい派だということが
体験して、よーくわかりました。
入口に、殺虫剤が各種置かれていたのも
古民家ならですね、そちらの恐怖は季節がら大丈夫でした。
実は、うちの事務所もバナナの冷蔵倉庫を
リノベーションして事務所に使用しております。
自分が倉庫の中で働くとは想像しなかったです。
日々好奇心を忘れずに
元来の用途と向き合いながら
今日も暮らしております。