かつて外人居留地として栄えた歴史のある横浜山手地区に立地するプラウド山手町。
山手本通りから一本南側、桜道から地蔵坂公園方面に入った閑静な地区に建つ低層マンションである。
周知のとおり、山手町は横浜港の開港後、現在でも異国情緒を残したエリアである。
数多くの有名私立学校が隣接する文教地区であり
港の見える丘公園、元町公園、イタリア山庭園、外人墓地も徒歩圏内の観光エリアでもある。
横浜有数の住環境。
市内でも比較的マンション供給量が少ない山手町エリアだが、最寄駅は石川町駅まで徒歩9分、
東京までも30分というアクセスは山手の中でも希少と言えるだろう。
2011年グッドデザイン賞を受賞。
野村不動産が手がけた記念すべき100棟目の当オーダーメイドマンションは、
ル・コルビュジュに師事した故板倉準三氏を創設者とする「板倉建築研究所」の監修である。
およそ2000平米の敷地面積に対して、わずか18戸という贅沢なつくりの地上3階建て低層レジデンス。
その意匠はやはり独特で、ミュージアムのようなスタイリッシュな外観は列柱の美しいラインと自然光と相まって瀟洒な空間を演出。
光と風を通すレイヤー構造の設計により、周囲からの視線を制御しながらも外部に対する開放感を確保・両立した。
緑豊かな街並みの中、敷地内に木を多く残すため、建物をコンパクトにつくり、
格子やガラス、列柱など光や風を通す素材を用いて、自然豊かな周辺環境と建物との調和が図られている。
昼夜でもその風景が異なり、内部の光が外にこぼれ出ることで、実に象徴的なエントランスホールになっている。
全体的にボリュームを抑え、北側の外観を美しくまとめ上げている点も高く評価された。
敷地内に残る樹木をシンボルツリーとし、その下にエントランスを配置。
既存樹をできるだけ残し、さらに新植樹を増やした緑のレイヤーを建物と周辺環境の間に織り込むことで、
街の歴史と同じように緑の歴史も積み重ねていくように意識された外構デザインとなっている。
建造物だけでは決してなり得ない、ヴィンテージマンションへの歩み方も、しっかりと心得たマンションなのである。