1980年に鎌倉市由比ヶ浜に建てられた3階建の低層マンション。
施工は戸田建設、総戸数は34戸。
湘南・鎌倉・海沿いといえば有名な国道134号線。
交通量の多いこの道路を一本内側に入っただけで、閑静な住宅地へと姿を変える鎌倉。
そしてまた本マンションも、この住宅地側のメインエントランスへ回ると、海岸側から見た姿とはガラッとイメージが変わる。
かわいらしいネームプレートと、よく手入れされた植え込み。
レンガの敷かれた中庭を囲むように配置された建物。
その中庭を彩る植栽たちと、センスよく要所要所に置かれたベンチ。
あたたかい日にはバスケットに入れたサンドウィッチを広げたくなるような、まるで宮崎映画の世界だ。
どこか地中海の小さな町を訪れたかのように、ノスタルジックな雰囲気に包まれる。
使い込まれたレンガの持つ独特の風合い。
年月を経て良い歳のとりかたをした建物だけが成し得る確かな価値とも言えるだろう。
そしてその普遍的な価値は、住む人に確かな安らぎを与えてくれる。
前記のR134を跨げば由比ヶ浜。
オーシャンフロントとまではいかないものの手を伸ばせば届きそうな砂浜とその先に広がるブルー。
鎌倉の花火大会も目の前で打ち上げられる贅沢さ。
晴れた日には伊豆半島も望むことができる。
春夏秋冬移り行く海を眺める鎌倉を代表するヴィンテージマンションである。