第一種住居地域となる西区戸部3丁目。
利便性の良さと暮らしやすさを兼ね備えたエリアである。
戸建の多い閑静な住宅街、戸部小学校すぐ隣といった落ち着いた環境。
清潔に保たれた周囲からも管理体制の良さを感じるとることができる。
1974年竣工。
各住戸開口部が南西向きとなる横並びの配置で構成される4階建。
採光や通風も確保しやすい設計である。総戸数は8戸だ。
エントランスにはモニター付きのオートロックも採用されている。
薄いベージュの建物に対して、エントランス部分だけコーヒーブラウンのアクセントカラー。
このカラーリングも住民が話し合いの上、塗り替えたそうだ。
戸建においては、そう珍しくもないが、マンションが修繕にあたり外壁のカラーリングを変えるのはなかなかチャーミングである。
そして、ここ戸部ハイムを紹介するにあたり、やはり記しておきたいのはその利便性。
最寄駅はJR、京急、市営地下鉄に東急線と行き先によって駅・路線を選べる。
MM21エリア、野毛エリアも徒歩圏。 街だけではなく、掃部山公園や野毛山公園など程近く、四季折々の自然を身近に感じることもできる。
居住者インタビュー
2023年1月 居住10年以上 M様
弊社設計部がリノベーション工事に携わらせていただいたご縁もあり、今回interviewさせていただけることとなったM様ご家族。
こちらのマンションに住んで10年以上の月日が経つ。
当時はまだ小さかったご子息も春には高校生になられるそうだ。
「私たちはリノベーションありきでの物件探しでした」
リノベーション工事の思い出話に花を咲かせながら、当時のことを振り返っていただいた。
「一度、ここにしよう!と決めかけた物件とは残念ながら縁がなく、そのあとは一年くらい家探しから遠ざかっていました」
そろそろ家探しも本格的に再始動しなければ…と思っていた矢先、たまたま朝刊の折り込みで本物件が目に留まる。
元々、横浜生まれの奥様なので、ある程度、希望のエリアは絞られていた。
古い・新しい、よりも自分達の理想の住まいづくりができるかどうか。
「120%満足しています。本当に不満は1つもないですね。笑」
広々としたこだわりの玄関エントランス、厳選された無垢材で敷き詰められたフローリング、センスよく区切られた収納多のキッチンスペースなど、住みやすさとデザイン性がハイセンスに施された室内。
その中でもやはり、剥き出しになったコンクリート壁が一際存在感を放っている。
建設時におそらく何かを記したのであろう数字やメモなど、壁を剥がした際に出てきたラクガキもそのままに、それがまた、たまらなく格好良い。
少し劣化し角の削れたその姿は、〇〇風ではなく、本物のヴィンテージなのだ。
実は、当初からコンクリート剥き出しの構想があったわけではなかった。
こちらのマンション、分譲では少しめずらしい壁式構造。
室内の解体を進めていく中、この壁はそのままにすることに決めたそうだ。
最近では南側の窓枠&窓を交換したのだという。
共用部とされ、全戸一斉に交換、というのがスタンダードな窓枠&窓であるが、ここが総戸数8戸、そして自主管理の強みでもある。
管理組合に交換の意向を伝え、承諾をもらって、現代的な窓枠に交換されている。
この年代のマンションには見られない大きな窓からは、暖かい日差しが入り込む。
そして、その窓から見える桜の木。
毎年、春になると桃色に染まるのが楽しみであったこのシンボルツリーは、マンションと共に歳月を重ね、残念ながら2,3年のうちに伐採する事が、住民同士の話し合いで決まったそうだ。
建築当初からこの木を眺め暮らしてきた方も、この眺めが気に入って中古購入された方も、同様に惜しみながらこの決断に至ったのだと話してくれた。
「住民同士の距離感がとてもいいんです」
M様は言う。
この図鑑のインタビューの際、必ずと言って良いほど耳にする言葉である。
似たような価値観を持つ人たちが、住まい探しの先に行き着く先が同じであったように、おそらく、お互いの距離感に対しての心地よさも近いのであろう。
どんなに素晴らしいマンションも、歳月を重ねれば必ず修繕が必要となってくる。
同じ建物に暮らす住民であっても、価値観に相違があればまとまるものもまとまらない。
まとまらなければ、問題は先延ばしになっていってしまう。
そういった悪循環が、ヴィンテージマンションにおいては、とりわけ少ない気がするのである。